犬・猫などに飛行機は危険? ペットの死亡事例と航空会社の対策を解説

ペットを飛行機に乗せるのは危険? いっしょにおでかけ

現状、日本の航空会社では、飛行機に乗る際はペットを必ず貨物室に預けなければなりません。
やむを得ないとはいえ、心配になりますよね。

「貨物室ってどんな環境?」
「犬や猫の死亡事故も起こっていて、危険だって本当?」
「海外では一緒に客席に搭乗できる航空会社もあるけど、日本でも対応してくれないかな?」

など、私自身も疑問や不安に思うことが多いので、今回「犬や猫、ハムスターなどと飛行機に乗るのは危険なのか?」について調べてみました。

また、貨物室へ預けられるペットの種類と、預かり不可なペットの種類についても言及しています。
ぜひ最後までご覧ください。

犬や猫、ハムスターなどを飛行機の貨物室に預けるのは危険なのか?

飛行機の貨物室は危険?
客席には乗れないのにゃ?

先に申し上げると、飛行機の貨物室へ預けたペットの死亡事例は存在します。
ただし「ペットを貨物室へ預けるのは危険である」と結論づけられるほど、頻発しているわけではありません。

したがってニュアンスとしては
「ペットの健康状態が良好で、かつきちんと事前準備をすれば心配しすぎる必要はないが、”100%安全”でもない」
というのが近いのではないかと思います。

編集長
編集長

判断がむずかしいのデス……

以下で詳しく説明します。

日本の航空会社では、原則ペットは客室に乗れない

まず前提として、犬や猫、ハムスターなどのペットと飛行機を利用する際、日本の航空会社では、一緒に客室に乗ることはできません。
ではどうするのかというと、有料で貨物室へ預けることになります。
*Peach・Aviationやジェットスター・ジャパンなど、客席だけでなく貨物室預かりも不可(実質ペット不可)航空会社もあります。事前にお確かめください

「貨物室に預けるなんて、気圧や気温の変化は大丈夫なの?」
「危険なんじゃ?」
と心配になってしまいますよね。

そこで私たちの大切な相棒が過ごすことになる貨物室の環境について、詳しく調べました。

犬や猫などが過ごす貨物室の環境は?

ペット預かりサービスをしている航空会社の場合、やはり生き物が過ごすわけですから、貨物室の温度や湿度はきちんと管理されています。
しかしどうやら客と全く同じというわけにはいかないようです。

たとえばJALの公式サイトでは、以下のように説明されています。

輸送環境について

温度・湿度
ペットをお預かりする貨物室内は客室内と同じ温度・湿度となるよう空調管理を行っておりますが、気温や反射熱の影響を受けて高温になることも考えられます。

出発間際までは空調の効いた場所や日陰にてお預かりいたしますが、航空機への移動、乗り降りは屋外となるため、季節によっては温度・湿度に大きな変化が生じる場合がございます。

照明・気圧
飛行中は照明が消え、暗室となります。また気圧に関しては0.8気圧(2,000mの山頂と同程度)となるため上昇中、下降中の気圧の変化で耳の機能などに悪影響を与える恐れがございます。


離発着時や飛行中は機械操作音や風切り音(地上では聞かない音)がします。
また、航空機への搭載・取り卸し作業時には航空機や地上車両の音が聞こえます

JAL国内線>ご搭乗サポート>ペットとおでかけサービス

このように貨物室は客席とは環境が異なりますし、当然、私たちが様子を見ることもできません。
音に敏感だったり、興奮しやすい性格の子ですと、パニックになる恐れもあります。
また気圧や気温の変化、家族と離れるストレスなどで、相棒が体調を崩してしまうのではないかと心配になりますよね……。

そして実際、航空機の貨物室へ預けた犬や猫の死亡事例というのは、存在します。

数は少ないながら実際にペットの死亡事例はある

ペットの死亡事例

日本の航空会社では、ANAとJALがペットの死亡事例の件数を公開しています。
ANAもJALも、記載しているのは発生月と件数およびペットの種類のみで、事故当時の状況やどうして死亡してしまったのかについての記載はありませんでした。

ペットの種類と発生月、件数は以下のとおりです。

ANAの場合

年(西暦)ペットの種類と件数
2015年3月犬 1件
2016年10月犬 1件
2017年1月犬 1件
2019年11月犬 1件
2020年1月犬 1件
2021年2月/5月/8月
/9月/12月
犬 3件
猫 2件
2022年3月犬 1件
ANA:ペットが死亡した事例(2015年以降)

JALの場合

年(西暦)ペットの種類と件数
2017年6月犬 1件
2018年5月犬 1件
2019年6月/11月/12月犬 1件
猫 2件
2020年4月小鳥 1件
2021年7月/8月犬 3件
(7月に2件、8月に1件)
JAL:死亡事例について(2017年以降)
編集長
編集長

犬と猫がほとんどみたいデス
ハムスターや小鳥などは、飛行機に乗る機会自体が少ないのかも?

それぞれの事故原因はなにか?

事故について調べる前は、熱中症の可能性が高まる夏場か、もしくは寒さで心臓などに負担がかかる冬場に事故が集中しているかと予想していました。
しかしANAとJALの例を見るかぎりでは、全体的に時期がバラバラですね。

編集長
編集長

寒い時期の方がやや多いデス?

詳細を確認できた事例は少ないのですが、2013年にANAで貨物室へ預けられたチワワが死亡した事故がありました。
この事故が起こったのは8月で、原因は熱中症であるとされています。

また海外の事例であり、貨物室預かりではなかったのですが、ユナイテッド航空(米)でも2018年に事故が起こっています。
客室の頭上の荷物入れに入れられた犬が死亡した事故で、原因は頭上の荷物入れに換気装置が設置されていなかったことによる酸素不足とされています。
なおこの際、犬を荷物入れに入れることを乗務員に強制されたという話もあります。

いずれの事例も、苦しかったであろうわんちゃんと家族の心情は、想像を絶するものがあります……。

航空会社が実施している安全対策と貨物室へ預けられるペットの種類

航空会社各社のペット預かりサービス

もちろん各航空会社では、ペットが目的地まで安全に移動できるように苦心しています。

航空会社各社のペット預かりサービスの内容

各社のペット預かりサービスでは、動物の安全性を考えてさまざまな工夫をしています。

具体例は以下のとおりです。

ペットの安全のための対策例
  • 食事や給水、暑さ寒さ対策についてのアドバイスを公式サイトへ記載している
  • ペットケージ(クレート)の安全要件を厳しく定め、要件を満たしていない場合にはクレートの貸し出しを行う
  • 感染症予防などのため、クレートは貸し出し前に消毒を行う
  • 夏季期間にはペットケージに保冷剤と給水器を取り付けるサービスを行う(ANA)
  • 健康状態(過度に緊張して震えている、パニックになっている)によっては預かりを断る
  • 緊急時には空港近辺の動物病院やペットホテルを案内する
  • 空調により貨物室内の室温・湿度を管理している

預かり前の準備も含め、輸送中の安全に気を配っていることが分かりますね。

私たちも注意点をよく確認して事前準備やトレーニングを行い、いざというときには空港で案内してくれる動物病院やペットホテルへ預ける心構えをしておきましょう。

また、もともと相棒の健康状態に不安要素があったり、すでに高齢だったりする場合には、飛行機の利用は諦めましょう。

相棒の安全第一です。

貨物室へ預けられるペットの種類(預かり不可な種類も)

基本的に貨物室へ預けられる種類は犬、猫、小鳥、うさぎ、ハムスターなどの小動物となっています。

一方、動物自身と乗客の安全のため、貨物室へ預けられない動物も設定されています。

預かり不可な動物の種類は、猛禽類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫などです。
ただし国内線のみ容器のサイズや形態が規定通り・毒性を持っていない・臭いがない・鳴かないなどの要件を満たせば、カメや小さい魚、昆虫は「客室への持ち込み」が許可される可能性があります!

ぜひ利用予定の航空会社へ事前に相談してみてください。

またJALでは、ブルドッグとフレンチ・ブルドッグは通年預かり不可となっています。
理由は、「ほかの犬種と比較して航空機における輸送環境の影響を受けやすい」ことです。
おそらくマズルが短く詰まっているので、気圧や気温の変化で呼吸に問題が生じやすいのではないかと思われます。

またANAでは、マズルが詰まっている「短頭犬種」について、夏季のみ貨物室預かり不可としています。

毎年5月1日~10月31日の夏季期間は、他の犬種と比較して高温に弱く、熱中症や呼吸困難を引き起こす恐れのある「短頭犬種」のお預かりを中止させていただいております。

お預かりを中止している短頭犬種

ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ボクサー、シーズー、ボストン・テリア、ブル・テリア、キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズ

ペットをお連れのお客様(国内線)|ANA
編集長
編集長

ねこちゃんで預かり不可な種類は見当たらなかったデス!

今後は客席に一緒に搭乗できる専用プランが増える?

安心してペットと搭乗できる未来へ

このように現時点では、日本の航空会社ではペットは原則貨物室預かりになってしまいますが、今後はどんどん客席に搭乗できるようになってゆくのではないかと予想しています。

例として、ANAが「ワンワンフライト」という、犬と一緒に客席に乗れるチャーター便ツアーを実施したことがあります。
またJALでも「JALワンワンJET」という名前で、機内でもホテルでも犬と一緒に過ごせるツアーを実施しています。

そしてスターフライヤー(北九州-羽田線)では、すでに通常便にて犬や猫と一緒に客席を利用できるサービスを導入しています。
通常便での実施は、国内初の試みです!

編集長
編集長

最先端なのデス!

ちなみにスターフライヤーで客室を利用できるペットは小型の犬と猫のみで、予約枠は1便あたり2頭まで(1人で2頭分予約することはできない)。
ペットの利用料金は、50,000円です。
私のような庶民には高額ですが、相棒と離れずに済みますし、常時様子を見られるので、お互いに安心ですね。

もちろん、においや抜け毛対策など、アレルギーをお持ちの方への対応などは、きちんと考えられている様子ですよ。

今後、より気軽に、より安心して相棒と飛行機に乗れるようになると良いですね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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